自動車整備士の資格区分が変わる!新区分の内容と試験の変更点まとめ 公開日:2022年12月5日


令和9年1月1日より、自動車整備士区分が新しくなることが決定しました。1951年8月に制定されて以来、実に71年ぶりの見直しの背景には、自動車整備士を取り巻く現状が深く関係しています。

この記事では、現行自動車整備士資格と新自動車整備士区分の概要と変更された背景、資格区分変更に伴う各種変更点を解説します。

なお、本コラムは2022年9月時点の情報をもとに記載しているため、今後新たな変更が加えられる可能性もあります。本コラムを参考にしつつ、最新の情報にもアンテナを張りましょう。

目次

自動車整備士が不足?その原因は?

現在効力を発している自動車整備士の資格区分は、以下の8種類となっています。なお、二輪自動車と特殊資格については割愛しています。

  • ●一級大型自動車整備士
  • ●一級小型自動車整備士
  • ●二級ガソリン自動車整備士
  • ●二級ジーゼル自動車整備士
  • ●二級自動車シャシ整備士
  • ●三級自動車シャシ整備士
  • ●三級自動車ガソリン・エンジン整備士
  • ●三級自動車ジーゼル・エンジン整備士

  • 1951年8月に制定されて以来、抜本的な見直しは約70年間行われることがありませんでした。しかし、2022年9月時点で一級大型自動車整備士の国家試験は行われておらず、有資格者もいないなど既存区分は形骸化が進んでおり、それを整理する意味でも今回の変更に踏み切ったと考えられます。

    令和9年度以降の自動車整備士の資格区分

    令和9年1月1日から、現行自動車整備士資格から新自動車整備士資格に変更されることが国土交通省から告知されました。変更後の資格区分は次のとおりです。

    自動車整備士 資格区分

    (引用:国土交通省)

    一級に設けられていた大型・小型の区分がなくなるほか、二級・三級もすべてひとつの資格に統合されます。適用される試験は最短で令和9年3月(一級は令和10年3月)実施分からとなっており、それまでは現行自動車整備士資格のままです。

    ただし各級に対応する教科書の改訂が進んでおり、それに伴ってカリキュラムも変更される可能性があります。事実、二級整備士(総合)の教科書は令和6年9月、一級整備士の教科書が令和8年3月にそれぞれ完成予定です。一般養成課程への適用はその翌年を予定しており、早ければ令和6年に三級整備士(教科書完成が令和5年9月を予定)から適用されることとなるでしょう。


    現在資格を持っている人も新一級整備士を目指せる仕組みになる予定

    では、令和9年度以降、現行自動車整備士資格を所有している人はどのような扱いとなるのでしょうか。
    現在の資格はそのまま新資格に移行され、ガソリンやジーゼルなどの区分が消滅します。それと同時に新資格区分でも一級整備士を目指せる形を想定しているようです。以下は国土交通省が発表したスキルアップのイメージです。

    自動車整備士 資格区分

    (引用:国土交通省)

    実務経験年数がやや延長されるものの、新制度適用に伴って一から勉強し直す必要はありません。ただしあくまで案の段階であり、今後変更される可能性もあります。今後の動向に注目しておきましょう。

    自動車整備士の資格区分が変更された背景

    70年以上形を変えることがなかった自動車整備士の資格区分が変更された背景には、以下の事情が絡んでいるとされています。

  • ●先進技術や電気自動車の普及
  • ●自動車整備士の慢性的な不足

  • 現行の資格区分では、電子制御装置の取り扱いが認められているのは一級大型および一級小型の2つだけです。
    一方の自動車の技術革新は日進月歩で進んでおり、ゆくゆくはガソリン車が廃止されるのではないかともいわれています。これらに対応するため、新たに電子制御に関する資格区分が変更されることとなりました。

    また、複雑な整備士資格をわかりやすくすることで志望者を増やし、自動車整備士の慢性的な人員不足を解消することも目的の一つといわれています。

    自動車整備士の資格区分変更に伴う変更点

    新自動車整備士の資格区分が適用されることで、いくつかの変更がなされることとなります。代表的なものは以下の4つです。

  • ●担当可能な業務内容の変更
  • ●一級整備士試験の口述試験の廃止
  • ●三級整備士資格の受験資格の緩和
  • ●試験日と合格発表を前倒し

  • それぞれの意図・目的とあわせて解説します。

    担当可能な業務内容の変更

    先述したとおり、現行自動車整備士資格では電子制御装置を取り扱える人員が限られています。その人員不足の解消を図る目的で、資格区分が見直されました。

    具体的には二級自動車整備士(総合)にも電子制御装置整備の業務が追加。これにより整備士業界の中核を担う二級整備士も電子制御装置の整備に携わることができるようになります。

    一級整備士試験の口述試験を廃止

    現行資格区分では一級大型・小型の両方に口述試験が課せられています。しかし、その試験内容には疑問の声が上がっており、今回の改定で廃止されることとなりました。

    その代わりに実技試験が追加。試験内には口述試験に代わってユーザーとの対話スキルを確認する内容の採点項目が追加されます。

    三級・二級整備士資格の受験資格の緩和

    現行自動車整備士資格、特に三級整備士資格は卒業した学科によって受験に必要な実務経験が異なっていました。具体的には機械科は半年、それ以外は1年間の実務経験を必要としています。

    令和9年度から適用される制度では、機械科に加えて電気・電子系学科卒業生も短縮の対象となり、それ以外でも実務を開始した年度末には受験可能とする案が検討されています。この方針は二級整備士(総合)にも適用される予定です。

    試験日と合格発表日を前倒し

    年度末実施の自動車整備技能登録試験の学科試験合格発表は4月上旬。しかしこの間に離職する人員が後を絶たず、業界内で問題視されていました。

    今回の変更では試験日や合格発表の前倒しも検討されています。ただし、受験者や養成施設への影響もあるため、慎重に行われると予想されます。

    自動車整備士の資格区分に対応するために

    新自動車整備士資格は、令和9年度から適用される予定です。まだまだ先のように思われるものの、今後自動車整備士として働きたいのであれば無視できない問題でもあります。不透明な部分も多いものの、今から専門的に勉強をして基礎知識だけでもつけておくと安心です。

    読売自動車大学校では、新自動車整備士区分に対応できるよう、それぞれの基礎的な知識や技術習得を授業内に採用。新制度適用後に現場に入っても活躍できる人材を育てています。

    オープンキャンパスや学校案内で詳しく紹介していますので、ぜひ一度お問い合わせください。

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    まとめ

    長い間変更されることがなかった自動車整備士資格ですが、約70年ぶりに抜本的な見直しが行われようとしています。未だ不明瞭な部分も多く、移行期には少なからず混乱もあるでしょう。しかし、変更されることは決定しているため、今後の動向はしっかりとチェックしておきましょう。

    本校は読売新聞グループの安心と創立50年の実績があり、これまで多くの卒業生を輩出し自動車関連業界はもとより、多くの職種で活躍しています。
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